第1章 OTAソフトウェアアップデート
1. 検証方式の概要
本製品では、クラウドを利用した自動リモートアップデート(OTA)方式を採用しています。アップデートソフトウェアのインストール前に、機器側でアップデートパッケージの完全性検証を実施します。
検証の仕組みは以下のとおりです。
- 検証アルゴリズム:SHA-256(CRYPTREC「電子政府推奨暗号リスト」に準拠)
- 検証実行主体:機器本体(ロボット)のアップデートエージェント
- 検証対象:クラウドから機器本体のローカルキャッシュ領域にダウンロードされたファームウェア/ソフトウェアのアップデートパッケージ全体
- 比較基準値:クラウドサーバー上でアップデートパッケージを公開する際に、当該パッケージのSHA-256ハッシュ値を生成し、アップデートメタデータ(Metadata)に付与します。当該ハッシュ値はアップデートパッケージとともに機器側へ配信されます。
2. 検証処理および異常時の対応
アップデートエージェントは、インストール(展開・書き込み)処理を開始する前に、以下の処理を実行します。
- 1機器側で内蔵のSHA-256アルゴリズムを使用し、ダウンロード済みのアップデートパッケージについてハッシュ値を計算します。
- 2計算したハッシュ値と、クラウドから配信されたメタデータに記載された基準ハッシュ値を照合します。
- 3照合結果が一致した場合(検証成功):後続のインストール処理を実行します。
- 4照合結果が一致しない場合(検証失敗):直ちにインストール処理を中止し、ローカルキャッシュに保存された異常なアップデートパッケージを削除します。また、BMSクラウド管理プラットフォームへ「アップデートパッケージの完全性検証失敗」のエラーログを送信し、運用担当者による正しいアップデートパッケージの再配信を待ちます。
3. 既存システムへの影響を防止する仕組み
ダウンロードエラーや書き込みエラー等の異常が発生した場合でも、機器が起動不能(いわゆる「文鎮化」)となることを防止するため、本製品ではA/Bパーティションによるアトミックアップデート方式を採用しています。
- アップデートパッケージのインストール時には、現在稼働しているシステムとは異なる非稼働側のシステムパーティションにのみ書き込みを行います。
- ハッシュ値の不一致等により検証が中止された場合は、書き込み処理が開始される前に処理を停止するため、現在稼働しているシステムパーティションおよびマップ・タスク等のデータ保存領域には影響しません。機器は従来のシステムで継続して動作します。
本製品のアップデートパッケージの完全性検証は、機器本体(ロボット)のアップデートエージェントが自律的に実行します。PCやスマートフォンのアプリケーションによる補助的な検証には依存しません。
第2章 機器の工場出荷時設定へのリセット
1. 実施方法およびネットワーク接続要件
ユーザーは、機器本体の操作パネル(または物理リセットボタン)から、工場出荷時設定へのリセットを実行できます。リセットを実行する際は、機器がネットワークに接続されている必要があります。
ネットワーク接続を必要とする目的は、以下のとおりです。
- 操作者の認証情報を確認し、不正な物理アクセスによるリセットを防止するため
- クラウド側のデータ消去処理を実行し、本体およびクラウド上のデータを確実に削除するため
2. データ消去の範囲(初期状態への復元)
工場出荷時設定へのリセットが完了すると、以下のデータは完全に削除され、復元できなくなります。
機器は、初回起動時と同じ初期状態に戻ります。
- 清掃タスク:機器に保存されているスケジュール清掃、定期清掃、連携清掃等のすべてのタスク設定
- マップデータ:作成済みの清掃エリアのマップ、仮想壁、進入禁止エリア等の空間情報
- 清掃レポート:過去の清掃履歴、エラーログ、稼働時間、清掃面積等の本体保存データ
- クラウド上のデータ:機器に紐付けられたクラウドプラットフォームのアカウント情報、リモート設定情報、クラウド上に保存されたレポート等
- ユーザー設定:ネットワーク設定、言語設定、音声設定等の各種ユーザー設定
3. 操作上の注意事項
工場出荷時設定へのリセットを実行する前に、必要なデータがすべてBMSクラウド管理プラットフォームからバックアップされていることを必ず確認してください。
リセットを実行すると、本体およびクラウド上のデータが連動して削除されます。削除後は、当社サーバー上にも当該データのバックアップや残存データは保持されません。